- k a r e s a n s u i -

- 家電戦隊ツクモヘルパー! -

1/――まずは自己紹介――

 ………。

 ………………。

 ………………………。

 ……あ、こうですかね?

 出来てますか?
 
 ……ああ、出来てますね。よかった。

 ええと、取り敢えず世の流れというものに乗っかって「ぶろぐ」で日記など始めてみようと思い立ったわけですよ。

 まあ、こうやって書いている時点ではまだ公開していませんから……ひょっとしたら日の目を見ることはないかも知れませんねぇ……。

 ……正直言いまして、私は機械音痴なんですよねぇ。ようやくビデオテープの録画の仕方を覚えたかな、と思ったら、え〜となんでしたか。そう、DVDですか。あれに変わってしまいましたからねぇ。
 説明書は自立可能な厚さになりつつありますし、なんですか、これからは「ちでじ」に切り替わるとか? 厄介なことですねぇ。
 実際、今こうやってワープロで四苦八苦しながら書いているわけですから……いやはや、気が重いですねぇ。


 さて、まあ自分の特性で一番目立つのがこの「機械音痴」という点ですので、さしあたってここに焦点を当てていこうかと思う次第です。

 私、一人暮らしをしているわけですが……取り敢えず卓袱台から周囲を見回してみます。

 まず手元にあるワープロ……これはまあ、長年使ってますから使い勝手もまあわかっていますね。
次に携帯電話。ああ、これはいけませんね、ダメです。使いこなせません。

「お前はいつの時代の人だ。あれか、写真を取られると魂が抜けたりするのか」

 と呆れた友人が買ってくれたそれなりに新しい機種、らしいのですが……ダメですねぇ。ボタンが多すぎて何がなにやら。ええ、目眩がしそうですよ。電話が出来ればいいんですよ、だって携帯「電話」ですよ?
 とは言え、受信するのは殆どがメールですから、必要に迫られてメールの使い方もそれなりに覚えましたけどね。


 次は、アイポッド……って何なんでしょうね、一体。いえね、携帯型の音楽プレイヤー、らしい事はわかっているんですが。CDウォークマンやMDウォークマンじゃあダメなんでしょうかねぇ……。正直使いこなせないのでウォークマンの方が使われていますね、はい。申し訳ないとは思っているんですけどねぇ、アイポッドにも、勧めてくれた店員さんにも。


 続きましては……「ちでじ」対応のテレビとDVDレコーダー一式。ですねぇ。若干型遅れらしいですが、これも宝の持ち腐れ……。福引で当たったんですけど、正直三等の折りたたみ自転車の方がよかったですね、あれなら普通に使いこなせるでしょうし。


 次は、ああ、これはまだわかりますね、冷蔵庫(冷凍室付き)。ただ、一点気になるのが……この人、説明書を見るに「自動製氷機能」がついているらしいんですよ、ええ。実際時折ですけど「からん」などと氷が転がり落ちるような音も聞いたことありますしね。でも、どういう理屈でそうなってるのか……なんか気になるというか違和感といいますか、不思議なんですよ。


 不思議といえば電子レンジもそうですね。今まで使っていたレンジはタイマーを自分で設定するタイプだったんですが……新しく来たやつは「お任せスタート」ボタンを押せば過熱時間などを自動で設定してくれるんですよ。技術革新は凄いですねぇ。でも、やっぱり妙な感じがするものなんですよ、自分の手を離れて勝手に機械がやってくれるって言うのは。人力でやるっていう方が、やっぱりしっくりくるんですけどねぇ、個人的にですけど。


 ああ、随分と書きましたね……。今日はこのくらいにしておきましょうか。まあ、いつまで続くかはわかりませんけどね、文明の利器への適応訓練ということで、がんばらさせていただきます。




2/――第一印象は大切です――

 ええ、お久しぶり、ということになりますね。日数があきましたが、決して飽きたわけではありませんよ?
 いえね、ちょっとした事件というか出来事がありましてね。そっちに掛かりっきりでしたから他がおろそかになってしまいましてね。

 ………。

 ……しかし、思い返せば万人に公開できる内容というわけではないんですよね、そういえば。まあ、ワープロで書いている時点で実は間違いなんですよね。初めて知りましたよ、パソコンとワープロって別物なんですね。教えてもらわなければアップロードも出来ない日記を延々と書き溜めるところでしたね。
 ……まあ、別に公開しなきゃならないわけじゃないんですが、一度書き始めたわけですしね。使い方もわかって、今日からはパソコンのお世話になってこれを書いていますしね、勿体無いというものですよ。


 ではまず、事の起こりの三日前から……。


 いえ、実際はそれ以前……一ヶ月くらい前からですかね、なんか変だなとは思っていたんですよ。
 以前申しましたように、私は機械音痴でしてね、録画を失敗してたり携帯の機能の大半を封印していたり、冷蔵庫の製氷が出来ずに従来どうりに型に入れて凍らせていたり、レンジでどこで間違ったのか加熱しすぎて破裂させてしまっていたり……まあだいぶ愉快な状態だったんですよ。


 それがどうも……自動製氷がきちんとなっていたり携帯のメールフィルターが機能していたり録音がちゃんと出来ていたり……まあ、とにかくきちんと出来ているようになっていたんですよ。私自身がどうこうしていた訳ではないんですよ? 何故かいつの間にか、ちゃんと機能していた、と。
 まあ適当に操作していたのが正しかったんだろう、そう思っていたんですよ、そんなわけないんですけどね。キーボードに指を押しつけながら横一線に走らせても、くぁwせdrftgyふじこlp、なんてそうそう出ないじゃないですか、それと一緒ですよ、多分。


 でも当時は、まあそういうこともあるかな程度にしか考えていなかったんですよ。
 当時……ちょうど暑くなってきていた時期でしてね、うちにはクーラーがないものでして、夜なんかは寝苦しくなってきてたんですよ。ですから夜中に眼が覚めることもありましてね、その日も、そうですね、二時半くらいでしょうか、寝苦しさに眼が覚めたんですよ。


 その晩はとみに暑かったらしく、寝汗を掻いてしまっていましてね。寝間着を変えて用を足して、さて部屋に戻ろうかと思った矢先に、聞こえたんですよ。からころん、と氷が落ちる音が。ああ、冷蔵庫の冷凍室の中の人が頑張っているんだなぁと思うと同時に、冷たい水が一杯欲しくなりましてね。氷を一欠け二欠け入れて、かりこり頬張るもよし、と思いまして、おもむろにコップを手にして冷蔵庫の前に立ったんですよ。で、特に何を意識するわけでもなく製氷室の扉を開けたんですよ。


「……おや?」


 ええ、氷の上になんか……というか誰かいましたね。メイド服に身を包み、青っぽい髪の毛をした幼女が二人。片方は水色の髪で氷の上に腰掛けて足と腕を組み、もう片方は濃い目の青い髪で片手にうちわを持って水をパタパタ扇いでるんですよ。身長は……15センチ前後といったところでしょうか。まさに小人さん。


「あ」
「……あ」


 ええ、ばっちりと視線がぶつかりましたね。いきなりの出来事にフリーズしてしまっているようでしてね。冷凍庫付き冷蔵庫なのにフリーズされてしまってどうするんだ、という突っ込みが喉もとまで出てきましたけど、全力で飲み込みましたね。


 ともあれ、私も驚いてはいますが、ここまで脅かせてしまった非はいきなり開けてしまった私の方にありますからね。潔く謝罪ですよ。


「いや、申し訳ありません。ノックもせず、不躾に申し訳ございませんでした」


 頭を下げる角度は60度ですよ。腰から曲げて、みっともなくないしっかりしたお辞儀が出来たと自負しますね。どうでもいいですけど。


「え? あ〜、い〜え〜、お気遣いなくですよぉ」
「いえいえ、では、失礼します」
「はい〜」


 ぱたん、と扉を丁寧に閉めて、思わず頷いてしまいましたよ。いやぁ、ほんとに小人さんが入っていたんですねぇ。感心しきりと同時に、今までの疑問が氷解してしまった感じですよ。小人さんが入っていて、だから色々と自動で動いている、ように見える。事実は小説よりも奇なりというやつですね。


 まあ、そんなことより氷ですよ。そういえば肝心の氷を取るのを忘れてしまっているじゃあないですか。これじゃあ何のためにここにいるのかわかりませんしね。

 で、改めて製氷室を開けようと思いましてね。今度はきちんとノックしますよ。なんという紳士。


――こんこん


「あ、はいってますよぉ〜」
「ってこの馬鹿っ!!!」
「あいたっ。うぅぅううう……」


 ……なんでしょうね、このほのぼの会話は。思わず似合いもしない微笑を浮かべて和んでしまいましたよ。
 まあ許可が出たことには変わりないはずなので、ここでも紳士的にきちんと失礼しますと断ってからドアオープンですよ。するとやっぱり二人いましてね、錯覚や幻覚なんかじゃ断じてねえことが確認できまして、一安心ですよ。
 ただ少し気になるのは、蒼い髪でうちわ装備の小人さんが頭のてっぺんを押さえて涙目になっていることと、もう一人の水色の髪の小人さんが、腰に両手をやってぷりぷりと怒っていることでした。あれですかね、さっきの声から察するに、お説教中でしたかね、これは。


「あの、お取り込み中のところすみません」
「うぅ〜……。い、いえ〜。こちらこそ見苦しいところをおみせして申し訳ないです〜」


 ぺこぺこと頭を下げあうこの状況は、あれですね、ステレオタイプ化された日本人のイメージなんですかね。


「ああ……もうどうでもいいわよ……」


 そうやってシーソーのように頭を下げあっているとですね、怒っていた方の小人さんが、なにやら酷く疲れたような溜息をついて歎き始めましてね。


「影ながら人々の役に立っていた栄光の日々から苦節数百年、科学に追われて就を失ってた私たちがようやく手に入れた活躍の場だっていうのに……こんなにもあっさり……。ご先祖様になんて詫びればいいのよぉ……」


   小人さん業界も就職難のようですね。私たちも、若干改善されているとはいえ、大変ですからねぇ。まあ、その辺の忌まわしい記憶はさておいて、本題ですよ。


「あの、悲しんでいるところ恐縮なのですが、こちらの用件よろしいでしょうか?」


   その私の言葉に小人さん(怒)は、キッ、とこう涙目で睨み付けてきましてね、不退転というか決死の意思がひしひしと伝わってきましたよ。


「ふんっ、いいって言ったでしょ! 売り飛ばそうが見世物にしようが研究しようが勝手にしなさい! わ、私はそんなのなんかじゃ絶対にくじけないんだからっ!」
「いや、氷を一欠けら提供するだけなのにそこまで構えられましても恐縮するばかりなんですが……」


「――――――は?」


 何をとち狂ったこと言ってるんだこの木偶の坊は? という心の声がばっちりと聞こえましたね、ええ。


「というか、今口に出してましたよね」
「え? あ、ちっ」
 舌打ちですか、そうですか。何をしたつもりもないんですが、随分と嫌われてるものです。ここは大人しく引き下がるべきなんでしょうね。そう思うと、思わず俯いてしまうのは不可抗力というものですよ。


「ほは〜……」
「……何をしてらっしゃるので?」


 ええ、俯いて下がった視線の先にいましたね。小人さん(泣)が。(泣)といっても、もう泣き止んで、なにやらちょうど彼女の目の前の高さにある私のお腹をまじまじと見詰めていますが。


 ――つんつん。


「わは〜、ぷにぷに〜」


 ――ええ、ショック、でしたね。マンガでいえば、背景に稲妻が走るくらいに衝撃的ですよ。
 確かに別段鍛えてはいませんが、体型的には痩せ型ですし、メタボとは無縁の生活を送っていたのですけどねぇ。


 しかしまあ、「ほは〜」とか「わは〜」とかにこにこしながらぷにぷに突っついている姿を見ていると、なんといいますか、こう、「ははは、こやつめ」と頭を撫でくり回したくなるんですよ。というか、既に撫でてますしね。


「あっこら! 馴れ馴れしくとーこに触るn「ひゃはーっ! ぐるぐるーっ」ってあんたはもーっ!」


  それにしてもこの小人(青)、ノリノリである。




――3/強気系委員長キャラ――

 取り敢えず立ち話もなんなので、私は椅子に、小人さんたちは製氷室のドアの淵に腰掛けましてね。腰をすえて話し合うことにしたわけです。もてなしのために冷蔵庫に眠っていた洋菓子と、コーヒーの準備をして会談開始です。

「で、結局あんたは何がしたいのよ……」

 水色ショートの小人さんは、相変わらず機嫌が悪そうです。ついでに言うと眼つきも悪いですね。

「したいと言われましても……」

 今後ともよろしくお付き合い願いたいだけなんですけどね。

「嘘ね。そーいう奴に限ってきっと裏で何かたくらんでるのよ」

 即断ですかそうですか。

「えっと、れーこちゃんはいいところの娘さん、なんですよぉ」

 ほほう、いわゆるお嬢様という奴ですか。

「それで、結構格式とか伝統とか……その辺りに厳しいんですよねぇ。で、騙されないように一族が路頭に迷わないようにって気を張ってるんです。だから〜……」
「ええ、皆まで言わずともですよ」




――4/わかってください――

「まあ、私としましては友好条約でも結びたいところですが……あれですよね、今まで操作できてなかったものが操作できてたりしたのって」
「そうよ、私たちがやったげてたんだからね!」

 どうだっ、とばかりに胸を張る水色小人さん。その横で蒼色小人さんもうんうんと嬉しそうに頷いてます。

「自動製氷もDVDの録画予約もケータイのメールフィルタも留守番電話の応答も洗濯機のタイマー予約も地デジ対応ハイビジョンテレビの番組設定も何もかも私たちがやったげたから使えてるんだからねそこんとこわかってんのつーかわかって!」

 ぜーはーぜーはー。

「うわぁ〜、れーこちゃんすごいね〜。一息で喋りきっちゃったよ〜」
「……ありがと、トッテモウレシイワ……」

 なんというか……れーこちゃん(仮)乙、といった感じですね。さめざめと涙を流す姿がとっても哀愁に溢れていますよ。苦労してるんですねぇ。




5/――Gっぽい……?――

「え〜っとですねぇ、こっそりひっそりと困っている人の手伝いをして暮らすのが私たち種族なんですよぉ〜」
「そ、そうよ! 私たちは何百年も昔のヨーロッパから脈々とその血を受け継いできた誇り高い種族なのよ! あんたそこんとk「あ、コーヒーはいりましたけど、いかがですか?」ってあんた人が話してる最中n「あ、いただきますぅ〜」……orz」

「ふふ……いいよ、いいのよもう……私なんて、私なんて……ぶつぶつ」

 淹れたてのアイスコーヒーをお茶に(小人さん二人は、何故か常備されていたミニミニサイズのコーヒーカップで)、冷蔵庫の中に潜んでいた名称不明の洋菓子をお茶請けにして真夜中のお茶会ですよ。

「ところで、なんですか、結構前から潜んでらしたんですか」

 このコーヒーカップの存在から考えるに、住み着いたのは昨日今日ってわけじゃあないんでしょうね。多分。

「そーですよ? だいたい一ヶ月くらい前から住み込んでたんだよ?」
「なるほど……」

 そういえば、予約やら何やらが上手くいくようになったのもちょうどその頃でしたね。

「……ところで、食器棚の奥の方にあと十セットばかりティーセットがあるのは……」
「ん〜? あれは他の子の分だよ?」

 やっぱまだまだいるんですね、しかも十人単位で。

「自動予約機能がある家電には必ず憑いてるわよ。常時起動型になると二交代か三交代制のシフトが組まれてるのよ。一応週休二日で夏季冬季の長期休暇もあり、冠婚葬祭による休暇も申請すれば許可されるわ。まあ夏場のクーラーとか冬のストーブとか、繁忙期には休みなんか取れなかったりするけど」

 れーこさん(仮)は、何といいますか達観したような諦めてしまったようなどこか遠くを見る眼差しでいらっしゃいますね。聞いてもいないのに解説してくれますよ。

「きっとぉ〜、色々たまってるんですよ〜。フロンとかストレスとか」
「あなたがのんびりしてる分頑張った有給とかもたまってそうですよね」
「あは〜、よくわかったねぇ〜」

   れーこさん(仮)の苦労もよくわかりましたよ。




6/――言葉の綾――

「ご先祖様たちはシフトなんか組まずにずっと一人でやってたみたいだけど……私たちにはそこまで力ないし、扱うものも複雑化してるし……。何であんたたち人間はこうもややこしい物ばっかり……。産業革命後のご先祖様たちの混乱振りがリアルに想像出来るわ……」

 産業革命と来ましたか。当然それ以前からいたんでしょうし、歴史ある一族っていうのはどうやら本当みたいですね。

 ところでそのご先祖様って何なんでしょうかね?

「いわゆるひとつの妖精さんですよぉ〜」

 もぐもぐと茶菓子をつまみながらとーこさん。

「いつの間にか家事とかを手伝っている、とされるヨーロッパの妖精、ブラウニーが私たちの起源よ。そこらの有象無象と一緒くたにしないでよね。しっかりとうすらでかいだけの頭に刻み込みなさい」

 とげとげしい事この上なくれーこさん。しかしもふもふと一抱えもあるお菓子を食べている姿を見ると……なんだか許せてしまえますねぇ。

「しかし、あなたたちも大概美味しそうですね」



 ……無言でれーこさんがとーこさんを引きずって距離を取っているんですが。

「貴方、やっぱりそういう目論見だったのね!」
「???」
「???」
「ってとーこも首傾げてないで! あと視線合わせちゃ駄目! 妊娠しちゃうわよ!」
「あなたも言いたい放題ですね……」




7/――コンゴトモヨロシク――

「つまり、このケーキの名前がブラウニーだからああいう発言に至ったのであり、決して幼女性愛趣味は持ち合わせていない、と」
「そういう事ですね」
「……まあ、そうなんだったらいいわ」
「誤解が解けてよかったですよ。まあ可愛いものは好きですけれどね」
「へ〜、じゃあ私は好き〜?」
「ええ、好きですよ(にっこり)」
「えへぇ〜っ♪」
「………」

 斯く斯く云々と説明して一安心。真夜中にかれこれ三十分以上話し込んでいましたので、そろそろお暇すべきでしょうね。

「では、今日のところはこの辺りで失礼しますよ。今度はもっとゆっくりお話できるといいですね」
「そ〜ですね〜。それでは、おやすみなさいですぅ〜」
「ふんっ、今日のところはこの辺で勘弁してやるわ!」


 という事があったわけですよ、はい。今後どうなるかはさっぱりですが、きっとこれも何かの巡り合わせ。仲良くやっていきたいものです。




8/――けなげ――

 ………。
 ………………。

「かちっ。ぴ、ぴ、ぴ、ぴ」

 ………。
 ………………。

「ぴぴ、ぴぴ、ぴぴ、ぴぴ」

 ………。
 ………………。

「ぴぴぴぴ、ぴぴぴぴ、ぴぴぴぴ、ぴぴぴぴ」

 ………。
 ……………ん。

「ぴぴぴぴぴぴぴぴぴぴぴぴぴぴぴぴぴぴぴぴぴぴぴぴぴぴぴぴぴぴぎっ! ……ぅぅ、舌噛んだよぉぅ……」




9/――でも容赦しない――

「うぅ、てゆーか起きてないしぃ……。もう一回やんなきゃじゃないかぁ……」

 ぬ、ぅ……。

「ぴ、ぴ、ぴ、ぴ、ぴぴ、ぴぴ、ぴぴ、ぴぴ、ぴぴぴぴ、ぴぴぴぴ、ぴぴぴぴ、ぴぴぴぴ」

 むぅ……。

「ぴぴぴぴぴぴぴぴぴぴぴぴぴぴぴぴぴぴぴぴぴぴぴぴぴぴぴぴぴ「うるさい!」ぴぎょっ!? ……ひぃんっ、思いっきり叩かれたぁ……」
「あと……五年……」
「しかも長いしっ!?」




10/――寝ぼけていると荒々しいです――

「謝罪と賠償を要求しますっ」
「だが断る」
「ひぃんっ!? 即断ですかっ!?」
「……Zzz」
「………(苛っ)」




11/――目覚まし鈴子の憂鬱――

「――というわけでっ。携子さん、冷子さん凍子さん、懲らしめてやってくださいっ」
「私たちは助さん角さんじゃないんだがなぁ」
「あうっ、ノリが悪いよ携子ぉ。それに同じ目覚ましを役目に持つもの同士じゃないのよぉ」
「携帯電話の目覚まし機能は飽くまでオプションだ。それに私は主には丁寧に扱ってもらっている。懲らしめる理由がない」
「あ〜、携子はあの木偶の坊に付っきりだものね。親密度が上がるのは無理もないわね」
「ううっ、やっぱり叩かれて蹴飛ばされてがボクたち目覚まし時計所属の宿命なの……? はうん……」
「へ〜、目覚ましってたくさん叩かれるんだねぇ〜。大変だねぇ〜」
「とーこ……あんたも一度と言わずに二度三度と斜め四十五度で叩いた方がいいかしらね……?」




12/――因みに母体は有限会社ツクモヘルパー――

「情報の腹心、ツクモ……あ〜、カラー的にレッドか」
「起床時間の管理者、ツクモイエロー!」
「冷凍食品の友達、ツクモホワイトだよ〜」
「せ、生鮮食品の守護……つ、ツクモブルー……って、なんで私までやらなきゃならないのよっ///」
「冷子、気にしたら負けだ」
「もうっ、二人とも黙ってよぉ……。こほん! とにかく、とりあえず四人と、この場にいない他のスタッフ八十四人! みんな揃って!」

「「「「家電戦隊、ツクモヘルパー!!!!」」」」



「ん? こういう時は後ろで爆発が起きるものじゃあないのか?」
「またあんたはどうでもいいところに突っ込みを……」




13/――不幸属性(因みに冷子は苦労属性)――

「ところで、懲らしめるとはいうが、具体的にどう懲らしめたいんだ?」
「いっておくけど、あれで一応雇用主なのよ? 承諾とってないけど」
「ふっふっふっ〜、それはもちr「う〜ん……戦隊モノって事は、やっぱり巨大ロボで合体じゃないかなぁ〜?」」
「だが私たちのサイズでは大して大きくならないから、正直無意味と思うがなぁ。……ん? どうした鈴子、出足を挫かれた上に骨折り損のくたびれもうけをしたような顔をして」




14/――ソレはない――

「まあ、灰になってしまった鈴子は置いといて、今後どうするか考えはあるか?」
「どうするも何もないわよ。とりあえずは現状維持、まあ大手を振って働けるようになったから、働きやすくはなったでしょうね、釈然としないけど。あとは、会社にも報告入れないと。稀有にして幸運な事例だものね、後進のために役立ててもらわなきゃ」
「そうだな。やれやれ、せっかくこうして現場スタッフの知性派が集まったんだ。こういう事で話し合わずにどうするんだか」
「そーだよね〜、わたしたちの溢れるちせーがもったいないよね〜」
「「………」」
「んう? ど〜したの二人とも〜?」


15/――姐御――

「とか何とかやっているうちに、そろそろ主が目を覚ましそうなんだが」
「え? あらほんとね」
「じゃ〜着替えを用意しないとね〜。……あ〜、タンスの引き出しが重くて動かない〜」
「……凍子、馬鹿な事やってないで、早く持ち場に戻れ。浮かれる気持ちはわかるが、私たちの本業は飽くまで家電製品動作のヘルパーだ。……そして鈴子はさっさと正気に戻れ」
「――あいたっ!? な、なんか今首筋にもんごりあんちょっぷが突き刺さったような痛みがっ!?」
「そうか。よかったな、生きてる証拠だ」
「……携子……恐ろしい子っ」


16/――デレ期到来の予感――

「あ〜、はいは〜い。漫才はもうおしまいよ。まだあんな奴に本業以外の世話をしてやる義理なんかないんだし、持ち場に戻るわよ」
「ん〜? れ〜こちゃん、今"まだ"って言った?」
「っ!?」
「ふむ。確かに言ったな」
「ボクも聞きましたよっ」
「「「………」」」
「な、なによっ? 確かにあの木偶の坊は嫌いだけど、今後の可能性まで否定したわけじゃないでしょっ? それに……わ、私だって拠りよい未来を想像しないわけでもないんだから……って、なにニヤニヤしてるのよ!?」
「「「いや。別に?」」」


17/――私たちの未来はこれk(ry――

「とにかくっ。当面は様子見というか、なるようになれでやっていくわよ」
「まあ、妥当なところか」
「ううっ、待遇改善のためにも頑張らないとっ」
「ふふ〜、これからどうなるのかな〜? 楽しみ楽しみ〜」

「ふうっ、それじゃあ」「ふむ。では」「ううっ、やってやる、やってやるわよっ」「えへへ〜、それじゃあ〜」


「「「「これからよろしくお願いします、ご主人様!」」」」












18/――と見せかけて――

「嘘だッッッッッッ!?」
「ええ、フェイクです」
「何故にっ!?」
「時系列に沿って記述していくのが難しいと思ったからなんですよ。」
「ふん、プロット組まずに書きなぐるからこうなるのよ。自業自得ね、勇み足ね、大馬鹿者ねっ」
「……明日から冷蔵庫にくさやと納豆と開封したシュールストレミングを保管するようにしましょうか」
「それなんて拷問っ!?」





19/――家電戦隊ツクモヘルパー!A's――

 ええ、この形式でお会いするのは久しぶりですね。
 前回までは、気を利かせてくれた携帯電話配属の携子さんが録音しておいてくれた音声を書き上げたものでして。その後に巻き起こった阿鼻叫喚は、主に鈴子さんと冷子さんの名誉のために伏せておく事にしますけれど。
 まあ、今後は妖精さんたちとの目立った出来事をつらつらと書いていこうかな、と思っています、はい。


20/――現場視察――

「というわけで、実際私たちがどういう風に仕事をしているかを見てもらおうというわけだな」
「どういうわけかは知りませんが、要は職場見学ですよね」

 事の始まりは、ええ、朝食が終わってまったりしている時でしたね。胸ポケットに入れていた携帯電話が突然ぶるぶると震えだしたんですよ。いえ、「これから震えますからね」なんて予告されたらそれはそれでなんか微妙ですけど……でも携子さんが「中の人」で勤務してますから、それもありうるんですよね。

 話が脱線しましたね。
 で、震えだした携帯ですけれど、ぶるぶるぶるぶるぁぁぁぁぁぁぁ、と妙な音を立てながら、自爆寸前みたいに膨れ上がったと思ったら、ぽんっと白煙を上げましてね。気が付いたらそこに携子さんがいたんですよ。

「こういう登場の仕方なんですか?」
「いや、単に私の趣味だ」

 御大は実にいい、と呟く携子さん。韜晦してるんですよね、きっと。そういう事にしておきましょう。


21/――現場視察そのいち――

「まずは記念すべき場所、冷凍庫付き冷蔵庫だ」
「どぉもぉ〜。おつかれさまですぅ〜♪」
「……何しに来たのよ」

 冷子さんは相変わらずですね。冷蔵庫なのに冷凍庫より冷たいとはこれ如何に。……上手い事言いましたよね?

「座布団一枚だな、主」

 そういう携子さんに手渡されたのは三センチ四方くらいのミニミニサイズ座布団……。ひょっとして私物ですか?

「昨日まで職場で使っていたが?」

 職場、というとあれですよね。携帯電話の中、ですよね。

「そうなるな。何なら覗いてみるか?」
「是非に」

 という事で第一回は携子さんの職場ですよ。

「ってちょっと待ちなさいよ! 私たちはどうなるのよ!?」

 ふふふ、フェイクですよフェイク。冷子さんと凍子さんはお預けです。

「あ〜んっ。でも冷凍庫だから〜、預けられるのは当たり前〜、だもんねぇ〜♪」
「その能天気さが憎いっ、憎いわっ!」


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(c)Ryuya Kose 2005